2018年ニコニコ超会議のリアル来場者数がここにきて過去最高を記録したらしい件について

 2018年、4月の末に開催されたニコニコ超会議

 ニコニコ超会議ってのは今では日本最大級と言ってもいい動画サイトコミュニティの大規模なオフ会である。ここで重要なのは、最大級の動画サイトではなく、あくまでも「オフ会」が最大級だってことですなぁ。

 無論、最大の動画サイトは今や日本に限定したとしてもYoutube。これはもう動かしようのない事実。だけれども、オフ会最大級はニコニコ超会議だ。

 さて、そんなニコニコ超会議は近年、といっても、2017年までだけれども来場者数は下降の一途を辿り、「衰退期か・・・」などと言われていた。それに比例するかのように、ニコニコ動画のプレミアム会員数も瞬く間に減っていった

 ※プレミアム会員・・・お金を払ってよりよいサービスを受けられる会員

 しかし、ここにきてニコニコ超会議のリアル来場者数は過去最高を記録し、また、インターネット来場者数も急上昇したという。プレミアム会員数は減少しているにも関わらず、だ。

 これは一体どういうことか・・・?

 今一度、考察してみよう。

 

目次

 

1.ニコニコの衰退期について

 ニコニコの衰退自体、語るにしても一記事二記事必要になってくるので、ここであまり詳細には語らないでおこう。簡単に僕なりの考察をまとめておきます。

Youtubeへのゲーム実況文化の流出

・サービスが時代に追い付いていない

以上の二点が大きな衰退の原因になっていると僕は考える。なぜこの二点かってのを以下に簡単にだが解説していこう。

 まず、文化の流出ってのはかなり大きい。

 そもそも、ゲーム実況を始めとするニコニコ動画原産の文化ってのはやっぱりあったんだよ。アングラサイト時代があったからこそ、そうしたアングラなりの文化ってのがあったんだ。

 けれど、だんだんとニコニコ動画は徐々にYoutubeと同じような路線に舵を切り出した。舵を切り出したというか、インターネットの一般化によって視聴者層が一気によくも悪くも「一般大衆」になり始めたわけだ。アングラでなく。

 過去2ちゃんねるでネタにしていたような動画ばかりだったニコニコ動画はだんだんとアニメを公式配信したり、生放送で集客したり、普通に動画がアップされるようになってきた。ここではまだ、ニコニコ動画は隆盛を極めていた。

 けれど、それがわざわい

 だんだんとこれらアングラだったからこその文化がYoutubeなど他の動画サイトへ流出。知っての通り、動画だけ見るならYoutubeの方が無料会員にとっては使いやすい。

 だから、「ニコニコ特産」がなくなってきたことでだんだんと「ニコニコじゃなくていいや」となってきたのだろう。

 次に、サービスが追い付いていない。これは上記でもちょっと触れたけれど、サービスが他動画サイトに後れを取っている。

 プレミアム会員でもYoutubeよりもサービスの質が悪って部分もままある。特に画質、シークバーの仕様なんて点では他動画サイトではあり得ないほどの規制がある。また、動画を投稿する際もサイズの制限がかなりあるし、しっかりエンコードしなければ再エンコで画質が落ちる。

 こういった点で、他動画サイトに人が流れていくのは道理

 文化が流出し、ニコニコ特産がなくなった時点で、サービスで劣ってしまっている以上、衰退していくのも仕方がないことなのだろうな。

 

2.2018年の超会議で来場者数が増えた理由

 さてここで超会議で来場者が増えた理由を考察していこう。

 まず、僕が考察として掲げたいのは以下の理由だ。

Youtubeに迎合した結果

・動画サイト自体の隆盛の結果

・ゲーム実況者等のファン層の拡大

以上の理由である。一つ一つ見ていこう。

 Youtubeに迎合した結果ってのは分かりやすいと思う。Youtubeでできた文化であるYoutuber、これを取り込んだ。もっと言えば、2018年春当時もっとも注目を浴びているVtuberニコニコ動画でも良く取り上げていた。

 超会議でもVtuberによるイベントやブースが設けられていたようだ。この時点で、Youtubeのファンをニコニコ動画のイベントに引き込むことができる。・・・まあ、最大級のオフ会って意味ではアリなのだろう。

 次に、動画サイト自体の隆盛

 上でも触れたが、現在、Youtuber、Vtuberの全盛期である。いや、もしかしたらこれからもっと盛り上がっていくかもしれないが、これまでにないほどYoutubeは盛り上がっている。その波及で他の動画サイトでもそれらの動画が投稿、もしくは転載されるなどしている。

 その結果として、Youtube以外の動画サイトでも視聴者が増え、結果としてニコニコ動画でもYoutubeからの層がゲットできたわけだ。それに、動画サイト自体が隆盛しているのであれば最大級の動画サイトコミュニティのイベントであるニコニコ超会議に参加者が増えても不思議ではない。

  最後に、ゲーム実況者等のファン層の拡大

 Youtubeへの文化の流出は悪いことばかりじゃない。結果として、Youtube、ニコニコどちらでも活動しているゲーム実況者や歌い手はファンを二つの動画サイトを介して獲得することができる。その結果として、ニコニコはYoutubeからのファンを獲得できる可能性を得られるのだ。

 そして、これが生で会えるとなれば、Youtube側でしか視聴しないファンもニコニコ超会議に参加しにやってくるという寸法だ。これ、結果的には文化の流出がニコニコ再興への糸口になっている稀有な例だろう。このファン層をいかにニコニコに取り込むか。今こそサービス向上の時だと僕は思う。

 以上が参加者が増えた理由だと僕は考察している。結論、ニコニコ動画それ自体の人気上昇からってのは考えづらい。ニコニコ自体はそこまで変わってはいないのだ。変わっているとすれば、動画サイトコミュニティのYoutuber、Vtuberの隆盛があるってこと。これと関連させずにこの現象は語れないだろう。

 

3.結局のところ動画サイトってこと

  結局のところ、視聴者的にはどこであろうが「動画サイト」ってことですな!

 動画サイトであれば、ニコニコだろうがYoutubeだろうが視聴者的には変わらないのです。そこに目的のYoutuber、Vtuberがいるか、目当ての実況動画があるかってのが最終的な視聴者のニーズなわけです。

 そうした中で行われるニコニコ超会議などのオフ会的イベントも、これまた視聴者にとっては「どこが主催か」は関係がなく、「誰が、なにが」出るのかが重要なのですよ。固定ファンってのはそういうもの。

 と、いうことで「動画サイト」というくくりで見れば、Youtubeを始めとしたサイトが隆盛を極めているので、同じ動画サイトのイベントであれば誘致する人、企業を間違えなければ一定の集客は期待できる。

 ・・・と、ここまでニコニコが大したことないみたいな論を展開してきましたが、無論、ニコニコだってここまで大きくなったのは単純に凄いし、最大級のイベントを開けるってのはこれまでの功績があればこそ。また、知名度の高さもニコニコ自身の力だ。

 その辺、忘れてはならない。

 忘れてはならないけれど、実際、データとして衰退が見えている中、こうしてイベントの集客数が増えたりしている背景には上記のようなニコニコ以外の影響も大きいってことは十分に考えられる。

 

4.まとめ

・動画サイト全体の隆盛(Youtuber、Vtuber、ゲーム実況など)

 これが結局のところ、今回の現象を端的に表す言葉だと思う。

 Youtuber、Vtuberの台頭。加えて、Youtubeに活動域を拡大したゲーム実況者や歌い手が新たなファンを獲得していく。そういった流れで、Youtuber、Vtuberを取り入れたイベントとなった結果として、これまでニコニコで活動していた人とその視聴者が中心だったところに新たな顧客としてYoutubeから視聴者が流入してきたって構図だろう。

 もちろん、視聴者的にはそんな意識はないかもしれない。実際にYoutubeからニコニコへっていう意識がなくとも、両方に存在する「目的の人」がいてなおかつその人がイベントに出るのであれば、これはイベントに参加するでしょう。

 つまり、そう言うことだ。

 視聴者的に見れば結局は「動画サイト」。問題は「どこが主催か」でなく「誰が、なにが」出るのか。

 無論、サービス向上、企業努力、誘致などニコニコの尽力もあるだろう。けれど、今回の参加者急増にはそれに加えて「他動画サイトから波及した動画サイトの隆盛」があればこそだと、僕は考える。

 

※ニコニコをディスるつもりはありません。これはあくまでも個人の一考察です。