【オネショタ】「私の少年」第一巻は大人の女性と美少年の出会い、そして、彼女と少年が普通の、けれど心地の良い日常を知る物語【女性向け】

はいきました、私の少年のレビューです。

異質な恋愛漫画? ヒューマンドラマ?

正直なところ、第一巻では全くどう転んでいくのか分かりません。

始めに言っておくと、全体的に女性向けなタッチで描かれていくオネショタであり、ヒューマンドラマ的なものなのですが、実際読んでいると男性でも面白い。

なんていうかな、僕がヒューマンドラマや恋愛漫画といった女性的なものが好きってのもあるのだけれど、「私の少年」は雰囲気がドラマっぽいんですよ。

絵柄の雰囲気もそうだけれど、描きぶりとか大ゴマでの見せ場の選択が本当にドラマっぽいんですよね。

だから、「女性向け漫画だ!」という感じじゃなくて、そういう雰囲気や展開が男性でも問題なく楽しめる。

そうしたところも魅力的ながら、第一巻。

第一巻では少年(美少年)と私(30歳の女性)が出会い、お互いにこれまでの沈んだ日常やしがらみの中でただ心地の良い暖かな日常を手に入れる。

そんなところが描かれていきます。

では、以下で第一巻のレビューをしていきましょう!

 

目次

 

1.くたびれた日常、二人の出会いと約束

 主人公の多和田聡子は今年で30歳の会社員。

この30歳ってとこがリアルで良いですね。

20歳とかだと、「あんたまだ大学生だろ」って感じでちょっとしたラブコメ感さえ出てきてしまいますが、これくらいでこそ大人って意味で物語が展開できる。

なにせ、この「私の少年」は大人の女性による悩みとか、だからこそのオネショタ感とか、尊さとかが出てきているんですよ。

ただの男性が好きな意味での「オネショタ」ってのではなくて、そういうヒューマンドラマチックなイメージの展開なのです。

最高かよ、こういうの待ってたんだよなぁ!!!

以下、前半のあらすじ。

 

スポーツメーカに勤める多和田聡子は今年で30歳になる会社員。

毎朝、習慣になっている体温計で体温を測り、公園でサッカーの練習をしている少年を横目に会社へ向かう毎日。

会社には、大学時代、フットサルサークルの先輩で元カレだった椎川が飲みに行こうと誘ってきますが、それを断ります。

帰り道、公園に立ち寄ってビールを一缶飲み干す聡子。

そこでは、朝に見かける少年がサッカーをしていました。

上達しない少年に、サッカーを教える聡子。ふと、少年を見ると・・・

「 び し ょ う じ ょ ! 」

そう、そこでサッカーをしていたのは美少女・・・かと思って「女子サッカー部?」かと聞いてみたら美少年でした。

翌日は休日。

夜に目を覚ました聡子は、公園にビールを忘れたことに気付いて公園に向かいます。

公園に向かうと、そこには例の美少年とその手を引く不審な男!

「ゆーくん 帰るよー!」

と聡子は適当な名前を叫んで不審な男を撤退させます。

心配して美少年に近づく聡子。

「もうここで夜遅くまで練習しちゃダメ いい?」

「家でやったら怒られるし 来週の金曜日が本番だから」

そう言って食い下がる少年を見て、聡子はこんな約束をします。

「明日から ここで練習していいのは私がいるときだけです」

こうして、二人でサッカーの練習をする約束をしたのでした。

聞くと、少年の名前は早見真修、12歳

真修にはお母さんがいないらしく、夜まで練習しても大丈夫らしかった。

真修との練習最終日も無事に終わり、真修を送り出します。

翌日、椎川に誘われて行った飲みの席。

そこには、椎川とその婚約者が座って待っていたのでした。

帰り道。

(一体なんだろう この虚しさは)

何かを期待してたわけじゃないけれど。

何気なく公園に向かうと、そこには一人で座っている真修の姿が。

真修はレギュラーになれなかったことにとても落ち込んでいました。

「まだこれからでしょ どんどん練習して中学生になったら・・・」

「小学生のうちにレギュラーになれないなら 元々向いてなかったと思って諦めたほうがいい だから もう 辞めます」

そんな言葉に聡子は直感します。

(これは 親の言葉だ)

昨日と同じ服を着ている上に、お風呂にも入っていない・・・

それに気付いた聡子は、真修を家に連れていき、お風呂と服を貸してあげました。

お風呂から上がった真修に起こされて、体温計を手に取る聡子。

「もしかして 熱とかあるんですか?」

「朝起きたら体温測るクセがあって・・・もう何年かな ずっと続けてんだよね なんの意味もないのに」

そのクセは、椎川と付き合い始めてから始まったもの。

(あれからずっと 彼もわたしと同じものを抱えて生きているとばかり)

(勝手に思い込んでいた)

椎川が幸せそうに婚約者といたことを思い出して、涙が頬を伝う。

ぎゅっ、と真修はそんな聡子を抱きしめます。

「お母さんが 悲しい時は人の胸の音を聴くといいって」

 

前半ここまでですね。

長くなりましたけれど、正直、省けるところないんですよね、導入部分は。

いやーしかし、こういう出会い方ってのは、大人とショタの間柄で言うと王道中の王道ではありますよ。

サッカーなどのスポーツに打ち込んでいるけれど、環境には恵まれていない少年。

会社員として働いて、くたびれた日常を送るようになってしまった女性。

この構図はいつまでたっても変わらない王道です。

しかし、私の少年の少年、真修は単なるショタっ子ではありません。

最後に聡子を抱きしめたりと、ふとした時に大人びた一面を見せることのある、なんていうか、破壊力の高いショタなんですよ。

この子、正直、男の僕でもグッときますよ、こんなショタいたら。

けれど、主人公が30歳の大人な女性ってところがまた、この漫画をヒューマンドラマチックにしている要素でもあって。

そして、そんな二人だからこそ、この出会いは尊いのでしょうなぁ。

2.真修のこと

はい、中盤から徐々に真修のことが語られ始めます。

真修はどういう環境にいるのか、そして、聡子とはどういう関係になっていくのか。

以下、中盤あらすじ。

 

会社から帰ってきた聡子は、ドアの前で待っていた真修に会います。

真修を家に入れると、真修は喜んだようにある紙を見せてきました。

「お父さんがクラブ続けていいって」

「送り迎えとかユニフォームの洗濯とか何もしなくていいなら」

聡子はその言葉に、真修の父親に対する不信感を募らせながらも、真修の持ってきた練習試合のお知らせの紙を手に取りました。

場所は遠い。

父親は動かないし、友達に乗せてもらうのも父親が嫌がるのだという。

結果、聡子が乗せていくことに。

練習試合の会場に着いた二人。

聡子が真修にポジションを尋ねまずが、真修は多分出ないと答えます。

レギュラーじゃないから。でも、真修は落ち込んではいません。

「俺も応援頑張るんだ・・・」

試合に向かう真修を見送って、聡子は車の中で待機。

(「頑張ってね」って言えなかった)

(年下の子にレギュラー取られて その子の応援頑張るって言ってる子に)

(簡単に「頑張って」なんて言っていいのかなって)

しかし、暇なので試合をフェンスの向こうから眺める聡子。

そこには、必死で応援している真修の姿が。

それを見た聡子は、試合が終わった真修を思いっきりほめてあげます。

(「頑張れ」って言っていいに決まってるじゃん)

(だって 私 真修に頑張ったねって言ってあげたいもん)

ーーーーー

小学校。

サッカークラブのマネージャー的ポジションで、真修のクラスメイトの小片さん。

彼女が真修に前の試合で配られたプリントを渡そうと探していました。

真修がいたのはウサギ小屋。

本当は二人でやるはずのウサギの世話を、真修は一人でやっていました。

小片さんはプリントを渡すと真修に尋ねます。

「昨日、早見くんと一緒にいた人って誰? お姉さん?」

「お姉さんじゃない・・・けど・・・やさしいひとなんだ」

教室。

真修は地味で目立たない、というか、みんなからすればいないような子。

それに気付いた小片さんは、けれど、何もできません。

しかし、小片さんは真修にとあることを助けられて、真修が、真修にとっては誰にも相手にされないのが普通で、でも、やさしい人なのだと気づくのでした。

 

中盤ここまで。

小片さん、小学校での真修の話で出てきますけれど、真修に恋をする乙女ってポジションなんだろうと思います。

ここがきっかけで真修を意識するようになって、真修に恋をするようになっていく。

けれど、真修とはなにか知らないけれど、いつも一緒にいる聡子さん。

こうした関係になっていくわけですねぇ。

思春期の少年少女らしく、真修や真修の周りでも恋ってのはあるわけですよ。

それも、大人よりも多くね。

だから、こういった小片さんってのは、ある種、この物語の中にある一つのリアルな日常の要素になっていくわけですよ。

これのおかげで、真修の日常というか周りの日常、リアルってのが聡子と真修というちょっと異質な関係の中に割り込んでくる。

こういう雰囲気ってのがまたちょっと、この物語の雰囲気を透明感のある、雰囲気のあるものにしているのだろうな、と思いますねぇ。

3.それぞれ沈んだ日常の中で二人でいる時だけは幸せな日常なのだ

 さて、後半です。

これまでで二人の出会い、真修のことが少しずつ語られてきたわけですけれど。

最後では二人の関係性というか、二人がなぜこうした関係になれるほど相性が良いのかが分かります。

分かりますというか、見て取れるというか。

以下、後半のあらすじ。

 

小片さんからお礼を貰った真修。

真修は聡子にもお礼をしようと思い立ちます。

いつも会社帰りに会っていたからか、いつも会っていた時間に聡子を探し出しました。

「今 何かほしいものありますか」

「今まで お礼してなかったの思い出して」

小学生からのお礼などいいと断る聡子ですが、食い下がる真修。

「あ・・・土曜日のお昼ってあいてる?」

ーーーーー

土曜日の昼、真修と二人で回転ずしに来た聡子。

この回転ずし、三年位前にできたが、おいしいとは聞いていたがさすがに一人では入れなかったので、真修と一緒に紛れ込みたかったのだという。

「だから 真修の言うお礼 これにしてもらっていい?」

席が空くのを待ちながら、二人は話します。

「お父さん 朝いなかったから 仕事です」

「弟にも手紙とごはん置いてきたし」

聡子が弟のことを聞くと、名前は遼一だと言いました。

(弟にイチって・・・)

(どんな家が この子をつくったんだろう)

そんなことを思いながら、二人でお寿司を食べる聡子。

帰り道。

「美味しかったねぇ」

「はい! 全部美味しかったです」

「何が一番美味しかった?」

そんな他愛もない話をする二人。

「幸せだあ」

真修がそう言うと、聡子は大げさと言って笑います。

「お姉さんも 普通だから ですか?」

「へ?」

「人にやさしくするのは普通だから」

真修は、これまで聡子がしてくれたことを、「普通だから」しているのか尋ねました。

「普通こんなことしないでしょー 真修にしかしたことないよ」

グッ、と真修は聡子の手首を掴んで腕を引きます。

「聡子さん!」

真修は聡子の手に今日のガチャガチャで当たったカプセルを握らせます。

「これ 今日のお礼です じゃあ!」

そう言って駆けていく真修の後姿を、聡子は戸惑ったように眺めていたのでした。

 

はい、これで終わりですね。

最後の聡子のシーンは、ほんと一巻の最後の最後で聡子の心がグッと動いているところで、ここから二人の物語になっていくだと分かります。

これまでは聡子は真修のことをただの子供のようにしか思っていませんでした。

二人はそれぞれに少し陰鬱な日常を過ごしていますが、そんな中で、二人でいられるこの時間は確かにお互いに「幸せだ」と言える時間なのです。

そんな二人の時間があることを、最後の最後で真修に気付かされた聡子。

ここからですよね、これは、ここからですよ。

いやーこの二人がこれからどうなっていくのか、うまく行くのか?

いいえ、そうそうすんなりと上手く行くわけはありません。

だって、見れば分かる通りの異質な関係なのですから。

だけれども、この二人は確かに幸せなんですよ、二人でいる時間は。

まとめ買いもあるでよ!