【百合漫画】「やがて君になる」2巻 生徒会の始動と明かされる先輩の恋愛観、そして相変わらず先輩が可愛すぎる!

はい、百合漫画「やがて君になる」第2巻のレビューになります。

第一巻では「こんな漫画になりますよ」というような読者への顔見せ的な意味合い。

それと、主人公である小糸侑と生徒会役員の七海燈子先輩との出会い、および、侑が先輩から好意を告げられ、それを受け入れるようになる過程が描かれていました。

第一巻では出会いとそこから徐々に好意をぶつけていくようになる過程という、百合好きな私としては最序盤にして最大級のキュン死ポイントがあったわけですが。

さて、第二巻では最序盤のようなポイントこそないものの、二人の距離感は一巻よりも徐々に近づいてゆき、物語的には重要となる先輩の恋愛観についてだとか、そういったものを侑は知っていくことになります。

それを知った上での先輩に対する侑の付き合い方とか、なんだろう、最序盤が出会いとかイベント的なポイントだとすると、二巻では二人の関係性の進展と相手の内面に踏み込んでいく。

そういった少しずつ分かっていく過程にこう、キュンというかどちらかというと尊さを感じるようなポイントになっていきますね。

まあ、もちろん心臓をガッと掴まれるような萌えポイントもあるので、百合成分は相変わらずですけれどね。

 以下、ネタバレ注意

 

↓前巻ネタバレレビュー↓

densilife.hatenablog.com

↓次巻ネタバレレビュー↓

densilife.hatenablog.com

 

目次

 

生徒会劇の復活を望む先輩と反対する侑

まず始めに、第二巻の始まりは先輩が生徒会長となってから、生徒会室に新役員が集まっているところから始まります。

そこで生徒会長の先輩、それと副会長の沙弥香、あとは役員の侑と男子生徒である槙くんと堂島くんが登場します。

さて、第一巻は始まりの物語でしたが、第二巻はこの序盤でここからしばらくの物語の主軸となるものが提示されていきます。

今後の物語の主軸ともなっていくそれは、「生徒会劇」。

先輩は生徒会が集まったところで、

「今年の文化祭では生徒会劇の復活をしたい」と言うのです。

要するに生徒会で行う劇です。

侑は特に大きな理由もありませんでしたが、大変そうだというのでそれに反対するのでした。

劇の脚本家を探す際、侑には小説家志望の友達がいましたが、それを言いません。

ひょんなことでそれを沙弥香に知られてしまった侑は、「燈子の邪魔をするの?」と問われたときに「先輩のことを見てて心配になりませんか」と言うのでした。

・・・

「生徒会劇をする」という先輩のことを侑は心配している。

この構図がまたいいんですよね。

先輩はなんでもできると思っている周囲と違って、侑だけが先輩を心配することができる・・・と思いきや先輩の親友である沙弥香もそれは知っていて。

でも二人のスタンスが

侑「先輩はなんでもできる人じゃないから心配」

沙也加「燈子がそう望んでいるのなら邪魔をしない」

という風に分かれていて、このスタンスの違いが今後にも関わってきます。

いやあ、いいですね、この侑は否定しつつも先輩を心配して気を回していて、一方で親友の沙弥香は心配をしつつも邪魔をしない、三角関係に似た構図。

この一人を中心にした考え方の違い、ちょっと面倒な三人の関係。

現状では主役にはなりきれていないけれど、沙也加の感情も随所に描かれていて、こちらは侑とは違って

「燈子は誰も好きにならなくていい、そうすれば私が一番燈子の側にいられるから」

と、なかなかにちょっと面倒な恋愛観、でも割り切った感情を持っていて、良い感じにこじれています。

 

見付かってしまう二人の関係

生徒会初日、生徒会の資料整理をしていました。

帰り際、先輩は「用があるから残る」と言い、そんな先輩のアイコンタクトから事情を察して侑も生徒会室に残りました。

他の生徒会員が帰ってしまい、二人きりとなった生徒会室で、先輩は言います。

「キス、してもいい?」

それに対して侑は「好きじゃないけど、興味がないわけじゃない」と言って先輩からのキスを受け入れるのでした。

その時、生徒会に筆箱を忘れていた槙くんが窓の外からその二人の様子を見てしまったのです。

その後、槙くんから遠回しに侑は探られたりしましたが、ついに槙くんは「キスをしていたでしょ」と侑に言いました。

「先輩には見たことを言わないで」と言う侑を「先輩の心配をするんだね」と面白がりながら、槙くんは誰にも言わないことを約束するのでした。

・・・

ここ、百合漫画好きには「男が出るのはNO」派と「男が出ても積極的に関わらなければOK」派がいますけど、槙くんの場合は問題ないでしょうね。

彼は漫画内で言及されていますが、先輩や侑とは違った形で自分自身の恋愛には興味がない人間として描かれています。

この槙くんに見られてしまい、槙くんに「真っ先に先輩の心配をするんだ」「先輩が小糸さんを気に入っているとばかり思っていたけど、そうでもないんだ」と言われたことで侑の心はちょっと揺らいでしまった。

「これは別に・・・普通だよ」

これ、侑はこれまで先輩を受け入れることをなんとなくで「普通だ」と言ってきていましたが、それが傍から見ると「そうでもない」ことを突き付けられた。

ここがなぁ、それでもそれを「普通だ」と言えるところに、侑の何でも受け入れる優しさというか、流され体質というか、そうした部分が見えてきますね。

けれど、分かっているんですよ彼女は。

それが傍から見れば普通じゃなくて、それでも何も感じていない自分に少し嫌気が差してしまっていることを。

 

「特別を知らない」侑に先輩が惹かれる理由

先輩が生徒会劇を復活させたい理由は、数年前に亡くなった先輩の姉が当時生徒会長で、その時から生徒会劇がなくなってしまったからということを侑は沙弥香からの助言で知ってしまいます。

そして、話を聞いたところ、先輩の姉は今の先輩をそっくりで、誰にでも慕われ、誰とでも分け隔てなく接し、誰よりも優秀であった優等生。

それを聞いて侑は、「先輩は先輩の姉になろうとしているんだ」と気付きます。

そのために、本当は緊張もするし弱い自分も持っている先輩は、努力して必死になってそれを隠しているんだ、と気付いてしまいます。

「だけど、いつまで?」

いつまでそれをし続けなければならないのか、と思った侑は先輩と話をします。

「そのままの先輩を好きって言ってくれる人もきっといます」

それに対して先輩は答えました。

「そんなこと、死んでも言われたくない」

先輩は、先輩自身も大好きだった姉の代わりでいることが、姉のように特別でいることが、それがみんなのためだと信じているのでした。

(先輩は私から離れないはずだ)

と、そう思っていた侑は自分を恥ずかしく思いながらも、先輩の話を聞いて言うのでした。

「私、先輩のこと好きにならないよ」

それは、本当は「先輩を好きになりたい」と思っている自分が吐いた、ただ先輩に離れられるのが寂しい思って吐いた、嘘。

◇◇◇

そして、話は先輩視点。

「『好き』って暴力的な言葉だ」

彼女にとって、「好き」は縛る言葉。

「こういうあなたが好き」は「こうでなくなったら嫌いになる」ということ。

だから、姉のように振る舞っている彼女も、弱い彼女も、どちらも本当であり本当でない彼女にとっては「好き」と言われても、それは「姉のような自分でなくなったら嫌いになる」であり「弱い自分(彼女にとっては肯定できない自分)が好き」と言われているのと同義です。

だから、彼女にとっては「好き」は強制する言葉。

だから、彼女は「好き」を持たない小糸侑を「私に何も望まない誰よりも優しい人だ」ということで好きになっていったのでした。

彼女は侑に言いました。

「好き」

それが縛る言葉だと知りながら。

・・・

はい、ここで大きく二人の関係は進展しますね。

それと、先輩の歪んだ恋愛観の理由がはっきりとわかります。

二人の関係はこれまで、先輩が一方的に侑のことを知って一方的に好意を持って、その上で侑は先輩を受け入れていたわけです。

ですが、ここでようやっと侑は先輩の恋愛観を知り、先輩がどういう人かを知って、侑の方から先輩に歩み寄っていきます。

これ、もう侑は半分気付いてるんですよね「自分は先輩が好きになる」と。

いや、「先輩は自分から離れないだろう」と思っているところとか、もうその感情がすでに絆されているようなものじゃないか、とも思ってしまいますけどね。

そして、先輩の方もこれを言ったことで安心して侑にワガママを言えるようになっていくわけですよ。

これまでは「侑は私のことを好きにならないから、離れられないようにしないと」と思っていたけれど、この件で侑とある意味で両想いになれたわけですから。

まあ、都合の良い解釈の両想いですけども。

また、ここでようやくはっきりと先輩の恋愛観が見て取れますね。

「好き」は縛る言葉。

本当のところは自分が認めたくない弱い自分、かといって、自分が周りに見せている優等生な姿は姉の代わりで、だからどちらを「好き」と言われても先輩にとってはドキドキとかできるもんじゃないんでしょう。

その点、侑はどちらにも縛らないから、本当の自分を見せても受け入れてくれるし、それだけに自分を縛ろうともしない。

いや、最高ですね、この二人だけが通じ合っている関係。

この二人だからこそ存在できる恋愛関係。良きかな。

 

(個人的感想)やっぱり先輩が可愛すぎるのと侑が格好いい件

さて、以下、超個人的感想と言いながらあらすじ解説では書けなかった本作の百合成分満載の場面をいくつかピックアップしていこう。

まず、勉強をするために先輩が侑の家にくる場面。

先輩が侑の部屋に入って、侑がお茶とケーキを取りに行っている間に、先輩が侑のベッドにちょこんと顔を乗せるところ。

これ男女だったら完全に変態にしか見えませんけど、なんせ優等生で才色兼備文武両道な女子生徒会長なんですから・・・あぁ^~。。。

そして、勉強中に気が散っているのを指摘され、

「だって、好きな人の部屋に来てどきどきするのは仕方ない」

と言って、その後に

「心臓の音、聞いてみる?」

とか、完全に誘ってますよね。侑を。

でも手首で脈測られてどきどきしながらもがっかりする先輩。

有り体に言って可愛すぎる。

そして、同じシーンでこんな会話。

先輩が、侑が誰かを好きになるんじゃないかと心配して

「私は君じゃなきゃ嫌だけど、君はそうじゃないから」

と言うと、侑は

「私のことが一番必要なのは七海先輩だって分かるから」

・・・侑さん格好良すぎじゃない?

その辺のイケ女イケメンよりもはるかに格好良すぎじゃないですか。

それに対する先輩が

「そういうところが心配だけれど、そういうところが好き」

と完全に恋する乙女の顔で言っているところがもう。

これ完全にお二人付き合ってますよね?

という感じなんですけど、その後に侑は

「先輩はこんなに私を好きなのに私は変われないんだ・・・やだな」

と思っているので、やっぱり二人の物語は面倒くさくちょっとこじれながら続いて行くんでしょうなぁ。

まとめ買いもあるでよ!