【百合漫画】「やがて君になる」1巻がいきなり尊い・・・ちょっと歪な恋愛観の二人の行方に悶々とする

やがて君になる

ここ最近では百合、BL系のメディアミックスが多く行われるようになってきており、この「やが君」もアニメ化されている(2018/10現在)漫画です。

言っておくけれども、僕はアニメ化を知る前から買ってましたけどね!

目を付けてましたけどね!(オタク特有の先見の明マウント)

と、個人的な事情はどうであれ、今回はこの「やが君」の第一巻についてのレビューです。

順を追って解説していくのもいいですが、まず最初にファーストインプレッション、読み終わった時の第一印象を一言で申しますと・・・

「こいつぁやべぇ百合が来たな・・・僕の好みにドストライクじゃあないか!」

僕の好みは、巷でよく見られるただ女の子たちがキャッキャしているものやもう少し踏み込んでイチャイチャしているようなものではないのです。

人間的な感情、あるいは特殊な情緒が描かれている、ちゃんとした「恋愛」を描いている人間ドラマチックで物語性のある綺麗な百合なのです!

こう、なんというか、尊いと言うか、お恥ずかしながら「キュンキュン」するような恋愛、これが好きなんです。

そうしたものが好きな方であれば「やが君」はドストライクだと思いますよ。

(・・・まあ、個人的にはドロッドロしたものも好きなのですが)

ぶっちゃけメディアミックスも首が引きちぎれるくらいに首肯できるレベルの百合漫画だと思います。

 

↓次巻ネタバレレビュー↓

densilife.hatenablog.com

 

目次

 

1.まず表紙詐欺でない綺麗な絵柄から漂う美しき百合感

まず、特筆すべきはその絵の綺麗さです。

もともと、やが君はコミック電撃大王という月刊誌で連載されているものです。

月刊誌だから、とか、KADOKAWA系列だから、というわけではありませんが、非常に綺麗で雰囲気のある筆致で描かれています。

ここであえてKADOKAWA系列だからと言及したのは、表紙から中の絵を見て思った第一印象が・・・

ラノベの表紙みたいな雰囲気だな・・・あ、これ中もめっちゃ綺麗じゃん!」

だったからです。

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実際、表紙が丁寧でとても雰囲気があったから「お、いいかな」と思って買った(AMAZONでポチった)のですけど、中を見ても継続してその雰囲気が続いていたので、ラノベの表紙みたいだな。。。と。

最近ではラノベというと過激なものがありますけれど、なんだろう、そういったとこrではなくてあのイラストの雰囲気が継続するような、そんなイメージです。

そして、そんな絵柄で描かれている物語がこれまた、少し特殊な少女二人の感情を丁寧に描いたものなんですから、とても雰囲気に合致している。

正直に言って、ここまで僕の好きなタイプの百合漫画に合う絵柄はこれ以上ないんじゃないかと思うほどです。

なんというか、線が細すぎてふわふわとし過ぎていても人間らしさより綺麗な雰囲気が前面に出ているから人の感情を描くモノには淡泊。

かといって、絵が強すぎても少年漫画的な印象が強くなりすぎて百合漫画としては微妙になってしまう。

そこにきて、イラストのような線の強弱がちょうどいい感じで、濃淡が綺麗なこのやが君の絵は感情重視の百合漫画に対してベストオブベストなのです。

 

2.初っ端に提示される物語の根幹を成す二人の恋愛観とリアルな感情

 さて、本題です。内容を見ていきましょう。

まず、やが君の物語の根幹を成すのは二人の少女と、その二人の恋愛観です。

この恋愛観があればこそ、二人の少女の関係性がなんていうか、リアルで心を惹き付けるものになっています。

主人公は「小糸侑」。入学して何カ月もたたない高校一年生。

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そして、ヒロインである「七海燈子」。一巻時点では生徒会役員で生徒会長になろうとしている高校二年生。何でもできる優等生の先輩。

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物語は、主人公の小糸侑が中学卒業時にされた告白に対する返事に迷っているところから始まります。

侑は、花も恥じらう恋に恋する女の子といった感じで、恋をしたらふわふわとしてドキドキするものだと考えていました。

けれど、告白されてもそうではなかったことに落ち込んでいたのです。

だから、「自分は誰のことも特別には思わないし、自分は特別を感じられないんだ」と思っているのです。

一方で、先輩は何でもできる優等生で美人で高校に入ってから10人以上から告白されているのですが、誰から告白されても断っているのです。

ある日、ひょんなことから先輩のいる生徒会の手伝いをすることになった侑。

侑は、先輩が「私、ドキドキしたことないもの」と言ったことから親近感を覚えて、先輩に告白の返事で迷っていることを相談します。

そして、自分も「誰も特別に思えない」ことを告白します。

結局、侑がその告白を断ったあと、先輩は言いました。

「私、君のこと好きになりそう」

・・・はい、これが全ての始まりなわけです。

第一巻の主な物語はまた下で書きますけれど、その前にここで先の物語にとって重要な二人の恋愛観について提示されています。

まず、主人公の小糸侑。

彼女は「誰のことも特別に思わないし、自分は特別を感じられないんだ」という恋愛観を持っています。

ここで重要なのは、それにも関わらず「特別を感じたい」と思っているところ。

これがもう、この先の物語でも随所に出てきてこう、侑と先輩の二人の心情の対比と関係が・・・とてもじゃないがこっちがキュン死しそうになる。

次に、ヒロインの先輩。

先輩は優等生で、誰のことも好きにならない。

そう思っていたのだけれど、「誰のことも特別に思わない」と言ってくれた侑のことを好きになってしまうわけですよ。

ここ、「侑は誰も特別に思わない」だからこそ「私は侑を特別に思う」という普通の恋愛なら相思相愛を求めて矛盾してしまうところ。

だけれど、先輩の場合は「誰も特別に思わない」からこそ、好きになれる、甘えられる、一緒にいたいと思えるのです。

この先輩の複雑な思いについては以降の第二巻で詳しく示されています。

一緒にいたいと侑を特別に思いながらも、侑に「特別に思わないで欲しい」と願っている先輩。

誰のことも先輩のことも特別に思えないけれど、「特別を知りたい、特別に思いたい」と感じている侑。

似ているようで相反することを願っている二人の物語なのです。

 

3.一巻は主人公の小糸侑が色々と「知る」物語

さて、第一巻の内容についてです。

 

※ネタバレ注意!

 

 第一巻は小糸侑が自分の思いや立場を知って、先輩のことを知って、これからの物語の始まりを告げる「生徒会長選挙」を描いています。

まあ、メタ的な視点から言うなれば、読者にも二人の関係とどう展開していくかを提示している導入部的な物語ですね。

でもしっかり、二人の関係の始まりが濃密に描かれています。

さて、第一巻を通して描かれているのは、生徒会長選挙を通して、先輩が侑を好きになっていく過程と、侑が先輩との関係を受け入れていく過程。

 

ひょんなことから生徒会を手伝うことになった侑。

生徒会室で先輩に出会い、中学卒業の時に受けた告白に迷っていることを伝え、先輩から後押しを受けながら告白を断る。

その時、先輩は「誰のことも特別に思わない」と言った侑に「私、君を好きになりそう」と言ったのです。

なんだかんだそのまま生徒会選挙を手伝うことになり、先輩からの申し出で侑は生徒会選挙で応援演説をすることになった。

本当は、先輩の親友である沙弥香がすることになっていたのだが、彼女は不服ながらも侑に任せることになる。

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(この沙弥香さんもまたいいキャラで・・・)

生徒会長選挙で演説をした侑は、演説の時に勢い余って「役員になる」と言ってしまい、最後には先輩が当選して侑は生徒会役員としてこれからやっていくことになる。

 

と、あらすじはこのような感じです。

百合っぽくない?

・・・百合漫画ってあらすじだけだと本当に肝心な百合成分って省かれちゃうよね。

先輩が侑を好きだと言ってから、先輩は侑の前でだけはデレデレでド直球に好意を伝えてきます。

その一方で、特別を感じないと言いながら、自分にとっての特別でないと知りながら、侑は先輩が求めるままに先輩を受け入れていくのです。

そして、この先輩の求めるものがまた・・・

先輩のキスも、先輩の弱いところも、侑は受け入れていくのです。

けれど、侑は特別が感じられないから、キスをしてもドキドキしないと不満を感じるし、先輩の弱いところを見ても「きっと先輩には私が必要なんだろう」と思うだけなのです。

そんな中で、侑は先輩が自分に特別を感じていることに嫉妬を覚えることもあって、「私も特別を感じたいのに・・・」と。

・・・改めて考えてみると、この二人の恋愛観はちょっと特殊なのだけれど、それよりもこの二人の関係ってそこそこ歪んでるなぁ。

けれど、一方が直球で、もう一方がそれを受け入れているから、感情的には青春っぽく揺れ動いているのに、二人の行動はとても百合百合しているんです。

 あぁ・・・尊い

 

4.(個人的感想)先輩が直球なクセに乙女で可愛すぎて喀血しそうな件

 さて、ここからは僕の超個人的な感想を駄文乱文書きなぐっていきます。

第一巻の感想としては以下の三つ。

・あ、絵がやばいくらい綺麗だし好みの百合だ

・侑みたいな恋愛観はちょっとわからんでもないな

・先輩が可愛いいいいいいっぃぃぃぃぃぃぃぃいぃぃぃいいい!!!!!

まず、絵がとても綺麗だし、物語としては感情の機微が描かれていて、とても僕の好きなタイプの人間チックな感情重視、けれどストーリーもある物語です。

これはもう・・・全巻買うしかない!

いや、まあもう最新刊まで買って読んでるんですけどね。

次、侑みたいな恋愛観は分からんでもない。

ぶっちゃけ一巻では先輩の恋愛観の理由とかは分からないので、実際に100%提示されているのは侑の方の恋愛観だけなんですよ。

先輩の恋愛観はまだ表面だけ、50%くらいしか明かされていません。

さて、そこで侑の「告白されてもふわふわした感情を持てず、特別って気持ちを持てない」という恋愛観です。

これ、リアルでは告白直後でこの感情を持つ人は少ないでしょうけれど、ちょっと冷静になってみて「あれ、こんなもんかな」と思うような感覚なんでしょうか。

きっと、そんな感覚が一から十まであるのが侑なんでしょうなぁ。

さて、最後に・・・

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先輩、可愛いいいいぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃいいいぃぃぃぃぃぃ!!!!

先輩が可愛すぎるんですよ、これがもう。

いや、先輩は誰にも特別な部分を見せない分、二人っきりの時の侑に対してだけはデレッデレでド直球に好意をぶつけていくんですよ。

生徒会長選挙の時も、緊張していないようで、侑と二人になったときには本当は緊張していて侑の体を借りたりするところとか。

「キスしたい」と直球で伝えるところとか。

ちょっとしたことで照れてデレてしまうところとか。

それが侑の前でだけ行われるんですよ。

そして、それを全て「特別には思わない」と思いながら受け入れてしまう侑の、このなんていうか、特別に思わないからこそ余裕のあるような素振りで、結局先輩を受け入れてあげているようなその感じとか。

そんな二人の感情とか。

可愛すぎるんだよ、もう。

これを読んだ(もう五回くらい読んでいるが・・・)翌日、会社へ行っても仕事中にちょっと思い出してニヤニヤしてしまうレベルです。

気持ち悪い?

いや、ここまでドストライクの百合を読んでそうならない百合好きはいませんよ。

この百合漫画、本当におすすめです。

 

まとめ買いもあるでよ