今更だけれどドラマ「ルーズヴェルトゲーム」を見たので感想

 見た感想、一言で言うと、池井戸潤だなぁ」ということだ。

 まずルーズヴェルトゲーム」、内容は青島製作所という小さな電気製品メーカーが窮地に立たされる。経営が厳しいため銀行からの融資が降りず、そんな中、イツワ電器という大きなメーカーが青島製作所を特許権侵害で提訴するところから始まる。

 そんな折、青島製作所の野球部は社長(唐沢寿明)から「次のリーグで敗退した時点で野球部は廃部とする」と宣告を受ける。

 まあ、始まりとしてはこんな感じだ。

 あまり詳しくは著作権的なアレがあるので書けないが、詳細な内容は見たり読んだりして頂ければ幸いだ。以下に感想を列挙していこう。

 

目次

 

1.池井戸潤節が凄い

 池井戸潤、と言えば言わずもがな、あの半沢直樹」の原作「オレたち花のバブル入行組」や「下町ロケット」を書かれた作家さんです。

 まあ、作品を知っている方は知っての通り、「社会人や企業をメインに据えた、窮地からの逆転劇」が爽快なのが特徴だ。

 んで、このルーズヴェルトゲームもその例に漏れず、社会人、企業をメインに据えた逆転劇。これだから彼の作品はたまらない。

 いやー大学生の頃にも大概、この作品を見て熱くなったモノですけれども、社会人になってからは尚更こうした社会人、企業モノの活劇ってのが心に刺さりますなぁ!

 銀行勤めでもメーカー勤めでもないのですけどね!

 ただやっぱり、池井戸潤の作品では社長やそうした役員がメインを張ることが当然ありますけれども、そんな中でも一介の社員など会社の中でも立場の弱い人々を活躍させてくれるところがね! 一介の会社員である僕にも刺さるんですよなあ!

 この辺、池井戸潤作品と他の企業モノ作品とで違うとこなんですよ。

 

2.「逆転」感に頼り切ってる感がある

 さて、それでもちょっと池井戸潤節だからこそっていう微妙な点もあったりするのだ。

 そう、キーワード「逆転」がやたらめったらもう口癖みたいに出てくる。これが正直ちょっと・・・やりすぎ。食傷。控えめに言っても、うざい

 うん、あれだ、ルーズヴェルトゲームは良くも悪くも、会社とそれに属する野球部の社員という二つの柱で話が進んでいく。両者とも、苦戦を強いられているライバル会社は同じ。だからこそ、だからこそ面白い。二本柱どちらも逆転に次ぐ逆転、それが爽快なのだけれど・・・。

 まあね、二本柱両方とも同じテーマ、同じカタルシスって点でやっぱりこう、やりすぎ感が出てしまっている。「逆転」に頼り切っている感がある。

 いや、もちろん、物語として「逆転」は面白くするための重要なファクターだ。けれどそれは、結局、その前後の物語の中であった出来事が徐々にクライマックスになって逆転していくって形のカタルシスが通常では多い。

 けれど、ルーズヴェルトゲームの場合、二本柱。この双方が同時に逆転を起こし、また下がったかと思いきやまた逆転する。こうした構図。

 これ、熱くなれる。けれど、食傷気味になりやすい。

 あれだ、こってりソースのかかった分厚いステーキみたいなものだ。熱い、旨い、けれど、あーもう食べられんっ!!! ってなるわけよ。

 バランスって大事。

 

3.だが、そこがいい

 けれどな、そこがいいんだよ、池井戸潤

 このこってりソースのかかった分厚いステーキがいいんすよ。背油たっぷりなニンニクマシマシラーメンがいいんすよ・・・。

 いやー、「半沢直樹」も「下町ロケット」も、そして、「ルーズヴェルトゲーム」もね、どれも素晴らしくこってりなんだよ。物語の内容も、登場人物も。

 物語が熱い展開。登場人物もみな熱い。

 これこそが池井戸潤だ。

 そして、悪役が徹底的に「悪役」しているのもこれまだいい。

 なんだろうな、少年時代、仮面ライダーが悪役を退治している時の爽快感。そして、マーベル映画を見ている時のような、窮地かと思いきや何かのきっかけで主人公が敵を圧倒していくあの痛快さ。

 その、日本の社会人バージョンといったところか。

 仮面ライダーもマーベル作品も、何度か見ているとパターンが見えてきて少し食傷気味になるだろう。ルーズヴェルトゲームのそれも同じ。

 ルーズヴェルトゲームは根幹に「企業同士の闘い」があるため、「逆転感」に飽きてきても、こういった見どころがあるため見やすい。

 まあ、そういった見どころは企業モノが好きな人に限るだろうけど。

 

4.キャストが「やっぱりこうだよな!」

 キャスト、これがまたいい。ここは池井戸潤の管轄ではないけれど。

 まず青島製作所の社長が唐沢寿明。熱い男、非情な男、こういった役では素晴らしい役者だ、と僕は思う。本当、彼の表情は熱い男を演じるのに向いている。一方で、表情を抑えた無感情というか、冷徹な演技もこれは普通に演技が上手い。

 そして、敵役。今回、やや敵対的な形で銀行が出てくるのだけれど、この銀行で出てくるのが香川照之。ご存知、「半沢直樹」でも黒幕を演じた悪役も悪役な役者。彼はなー、ほんと偉い立場の悪役をやらせたら右に出るものはいないんじゃないかってくらいの悪役感だよなー。それも、トップじゃなくて次席とかその辺りの悪役。彼ほどそういった立場の悪役に向いている人は知らないな。

 いやもうこの時点でキャスト的にも大満足なのですが、他にも江口洋介や六角精児といった方がこれまたもうドンピシャですわ。

 ・・・まあ、中にはアンジャッシュの児島などお笑い芸人を何人か起用している節があったけれども。個人的にはお笑い芸人は、お笑い芸人としてのイメージが強すぎるからあまりドラマに集中できないんだよなぁ。

 と、いうのは置いといて、結構、「半沢直樹」組が見られる中でもしっかりルーズヴェルトゲームの配役に合ったキャストだ。

 個人的には唐沢寿明香川照之が出ている時点で面白いこと確定なのだけど。

 

5.まとめ

 正直言って、企業モノ、小説から入ろうと思うとなかなかハードル高いんだ。説明とか入っちゃいるけれど、企業の動向とかをしっかり頭の中でイメージして追うのは難しい。

 これがドラマとなれば、視覚的にすんなりと動向が分かる。話数を追ってもちゃんとどこかでこれまでの企業の動向に触れてくれるので分かりやすい分かりやすい。

 僕はアマゾンプライムで配信されているものを見たのだけれど、今ではそういった配信サービスで一気に見られるため、なおさら前の話を忘れずに見られるため分かりやすかったりする。プライム会員ならば無料で見られるので、ぜひ見て欲しい。

 昨今の小説離れ、言われてますけれども、企業モノとかは難しい。面白そうとは思ってもなかなか手に取れないなら、まあ別にドラマから入って興味持ったら小説って形でもいいんじゃないですかね。

 そんな僕ですが、この分厚いステーキ、小説で買おうと思います。いやーね、前の投稿で書きましたけれども、僕、読書を趣味にしたので。

 うん、いやいきなり分厚いステーキは難しいかな・・・

 いきなりステーキ・・・

 腹、減った・・・(夜9時)

 以上